原毛の種類

ペンキ刷毛、糊刷毛は主に山羊毛、馬毛、豚毛が使われています。同じ動物の毛でも原産地、取れた時期により毛質など多少異なってきます。

 

~馬毛~

大きく分けると4種類あります。

<本毛>

馬の尻尾の毛。毛が太く長く腰があるので汎用されます。また尻毛の長い毛を取り除いた後に残る短い毛約20㎝の毛のことを『天尾』と言い腰の強さ、塗料の含みなど最高級の毛と言われています。

<振毛>

馬のたて髪の毛。毛先を振り先、切れ毛をフリといい一般的によく使われます。

<胴毛>

馬の体毛。毛が短く柔らかで滑らかなのが特徴です。小物の刷毛によく使われます。

<脚毛>

蹄の後ろの長い毛。細い割に腰があるので先がまとまり上質な刷毛によく使われます。

 

~山羊毛~

一般的に羊毛と呼ばれますが山羊の毛のことです。腰が非常に柔らかく塗料の含みが良いです。また毛先が良く利いているので塗りやすく、毛先のまとまりも良いためペンキ刷毛、糊刷毛など幅広く使われます。

<ヤンス(顎鬚)>

山羊の髭の毛。細く硬く腰が強いので先がまとまり上質な刷毛によく使われます。

<ヤン尾>

山羊の尻尾の毛。程よい腰がありまた毛先も滑らかですので高級な刷毛に良く使われています。

 

~豚毛~

毛がテーパー状になっており、太く腰が強く毛先が割れているのが特徴です。白の豚毛は腰毛としてペンキ刷毛、白糊刷毛などにも使われます。また、しごき刷毛としても最適です。

 

~狸毛~

毛が根本は細く、真ん中は太く、毛先がまた細くなっているのが特徴です。太くなっている部分から先を主に使うので腰があり毛先が柔らかいので筆に良く使われますが、切次にも最適な毛です。

 

~鹿毛~

空芯毛なので含みは最適です。柔らかく腰があるので水刷毛として最適な原毛です。

 

~植物繊維~

棕櫚(しゅろ)、津久毛などです。硬いため打ち刷毛用に使用されます。棕櫚は津久毛より柔らかいので両方混毛して硬さを調節して作られる事もあります。

 

~人髪~

人間の女性の長い毛を使っています。太く腰が強いのが特徴です。漆刷毛に良く用いられます。

 

~ナイロン毛~

ナイロン製の原毛です。タイネックス、カネゴートと言った繊維が使われていましたが最近ではPBT、PETが主流になっています。獣毛に比べて含みが悪く撥ねが強いですが洗いやすく耐久性に優れていますので万能的に使われます。